Fateは作品数が多く、
「結局どれが同じ話で、どれが別の世界なの?」
と迷いやすいですよね。
Fateシリーズは、設定を共有する並行世界(以下「世界線」)の集合として扱われ、多くの作品が「別ルート・別歴史」として独立した物語になっています。
そこでこの記事では、初心者〜中級者のFateファン向けに、
- stay nightの3ルートの分かれ方
- Zeroの位置づけ
- Apocrypha/EXTRA/FGOなどの分岐点
を、「分岐点 → 作品の関係 → 視聴順」の考えのもと、Fateシリーズを整理し解説します。
Fateシリーズの物語は全て繋がっているの?【世界線の基本】
結論から言うと、Fateシリーズの作品同士はストーリー上直接には繋がっておらず、設定を共有したパラレルワールド(並行世界)として描かれています。
各作品で登場人物や、「聖杯戦争」の基本設定こそ共通していますが、物語の時間軸や結末は作品ごとに異なり、各作品で完結する構造が一般的です。
要点
- Fateシリーズは「同じルールを用いる別世界の物語」が多数存在するイメージ。
- 設定の共通部分はあるが、直結する続き物は基本的に少ない。
- 「○○を見ていないと分からない」は起こりにくい ※派生・後日譚(ごじつたん)の一部を除く。
まずは、 この「世界線」という前提を押さえておくと、シリーズ全体が見通しやすくなります。
「Fate/stay night」本編:3つのルートが生む並行世界
Fateシリーズの原点であるPCゲーム『Fate/stay night』には、
- セイバールート(Fate)
- 凛ルート(Unlimited Blade Works)
- 桜ルート(Heaven’s Feel)
という3つの分岐シナリオがあります。
これは、主人公の選択によって、物語の展開と結末が変わる『マルチエンディング方式』であり、それぞれを独立した世界線として捉えるのが一般的です。
すなわち、
「同じ"第5次聖杯戦争"を異なる選択で辿ったIF」であり、「Fate → UBW → HF」と時系列で続く話ではない。
という理解がいちばん近いです。
アニメ版では、2006年のスタジオディーン版がセイバールート寄り、のちにufotable制作で凛ルート(TVシリーズ)と桜ルート(劇場版)がそれぞれ個別にアニメ化されました。
いずれも単体で完結するため、基本的にはどれから視聴しても問題ありません。
「Fate/Zero」は「Fate/stay night」に繋がるの?(前日譚と世界線)
『Fate/Zero』は、『stay night』の10年前(第4次聖杯戦争)を描いた前日譚(ぜんじつたん)です。
一見するとストーリーが地続きに思えますが、Zeroはゲーム本編発売後の外伝小説として作られた経緯があり、設定面で本編と矛盾する点があるため、厳密には本編とは異なる世界線寄りの物語とされています。
要点
- Zeroは「stay nightの過去を描いた作品」である。
- 設定・結末の整合性の問題から、唯一の正史の過去とは言い切れない。
- 「stay nightに近い並行世界の前日譚」と理解すると分かりやすい。
ただ、世界観や登場人物の繋がりは他の作品より密接で、Zeroの知識があるとstay nightをより深く楽しめるのも事実です。
初見の方はZero単体でも理解できますが、後から本編を見直すと「ここに繋がるのか」とよりクリアになります。
「ロード・エルメロイII世の事件簿」はZero後の話?
『ロード・エルメロイII世の事件簿』は、Zeroに登場したウェイバー・ベルベット(ロード・エルメロイII世)を主人公に据えた『スピンオフ作品』です。
Zeroから約10年後を舞台にした魔術ミステリーで、Zero後の時間軸を前提にした後日譚として位置づけられます。
要点
- Zeroでの経験を経たウェイバーが主人公。
- Zero後の世界をベースにしている。
- Zeroを下敷きにしたスピンオフとして理解するのが妥当。
冬木の聖杯戦争とは直接関わらないので、本編を知らなくても楽しめる構成です。
Zeroファンなら「その後の空気感」を味わえる作品になっています。
「Fate/Apocrypha」はZeroからどのように分岐した世界?
『Fate/Apocrypha』は、第三次聖杯戦争の結果が異なったことで分岐したパラレルワールドです。
分岐のイメージとしては、
第三次の時点で『召喚されたクラスや聖杯の汚染状況が違ったルート』を辿り、その連鎖によってZero/stay nightとは別の歴史へ進んだ世界線。
とすると理解しやすいです。
要点
- 第三次聖杯戦争が分岐ポイント。
- その結果、聖杯の行方や戦争の形が大きく変わり、Apocrypha独自の歴史に分かれた。
Apocryphaの世界では、聖杯がユグドミレニア一族に持ち去られた影響で、舞台が日本から東欧に移り、「赤陣営 vs 黒陣営の計14騎+1の団体戦形式」の聖杯戦争が勃発します。
(※ジャンヌ・ダルクが召喚される特異なルート)
2000年代初頭の設定ですが、Zeroの未来ではなく、独立した別世界の出来事です。
「Fate/EXTRA」シリーズ:魔力消失で分岐した未来世界
『Fate/EXTRA』は、従来の聖杯戦争と大きく異なる『未来世界の物語』です。
西暦2030年代の月面仮想世界を舞台とし、地球側では1970年代に「ある大災害」が起こり魔力(マナ)が枯渇した、という設定になっており、この時点で本編と分岐しています。
要点
- 1970年代の大事件で「魔力が枯渇した世界線」へ分岐。
- 冬木式の聖杯戦争は成立しない。
- 月面のデジタル空間「SE.RA.PH(Moon Cell)」で別形式の戦争が起きる。
『EXTRA』『CCC』『EXTELLA』などは、用語や英霊名が共通していても世界設定がかなり別物なので、「魔術史そのものが違うパラレルワールド」として見ると理解しやすいです。
「Fate/Grand Order」の物語は本編と関係あるの?
スマホゲーム原作の『Fate/Grand Order』(FGO)もまた、本編Fateとは直接繋がらない独立した世界線上の物語です。
カルデアを舞台に、歴史改変(レイシフト)による特異点修正が軸となり、他作品の未来というより「FGO世界線の中で完結する長編」と捉えられます。
FGOを世界線観点で見ると、
- FGO本編自体が「FGOの世界線」で完結。
- 特異点ごとに「もし歴史が○○だったら」というIF世界が次々出てくる。
- シリーズ内でも特にマルチバース色が強い作品。
特性として、特異点ごとにIFの世界が次々提示され、シリーズ内でもマルチバース色が強い構造です。
他のシリーズを見ていなくても楽しめますが、既存の要素の再解釈・登場が多いため、あらかじめ知識があるとより楽しめる作品です。
その他のパラレル作品:Prototypeやプリズマ☆イリヤはどんな位置付け?
上記以外にもFateシリーズには多彩な派生作品があります。
いずれも基本は独立した世界線として扱われます。
▷Fate/Prototype
→『stay night』の原案に近い別世界。主人公やセイバーの設定が異なり、原案のまま進んでいた世界と考えると分かりやすい作品。
▷Fate/strange Fake
→ アメリカを舞台にした別の聖杯戦争。冬木式とは似て非なる儀式で、他のTYPE-MOON作品の要素も混ざる独自世界線。
▷プリズマ☆イリヤ
→ イリヤが魔法少女として戦うスピンオフ。聖杯戦争の要素をベースにしたかなり自由度の高いIF世界。
▷Carnival Phantasm
→ 公式パロディのお祭り世界線。本編との関係は考えなくてOK。
派生作品は設定のクセが強いものも多いので、まずは本編系を押さえてから行くと戸惑いにくいと思います。
【まとめ】初心者はどの世界線から見始めればいい?
シリーズは各作品が独立するとはいえ、入口としては『Fate/stay night』関連が王道です。
特に2014年制作の『Unlimited Blade Works』(TVアニメ版)は導入が丁寧で、初見でも入りやすいと言われています。
おおまかな流れとしては、以下がおすすめです。
- 迷ったら UBW(stay night凛ルート)
- その後に、Zero(前日譚寄りの世界線)、HF(stay night別ルート)へ進む
- それからApocrypha/EXTRA/FGOなど別世界線へ
ただし、どの作品も基本的に単体で完結する別世界の話なので、気になった作品から見始めても全然OKです。
好きな入口から入って、面白かったら別世界線のFateを見てみてください。
どの世界にも、Fateらしい魅力がちゃんとあります。